高級クラブでのある同僚の香り問題
かつて私が高級クラブでアルバイトをしていた頃の話をさせていただきます。
このクラブは女性スタッフが30名ほど勤務する大きな規模で、
私が比較的親しくしていた富士子さんという方についてお話しします。
富士子さんは多くのホステスの中でも素人らしさを魅力とする一面があり、
容姿は美しく、スタイルも良好でした。
さらに機転が利き、嫌味のない対応で品格も備えていたため、
見た目の印象だけでは上位にランクインするホステスでした。
しかし、残念ながら一つだけ彼女を悩ませる深刻な問題がありました。
客や他のホステスたちからは「わきが&スソわきが」と噂され、
陰では「富士子のスソわきが」から「富士のすそ野」、
さらには「フジスソ」というあだ名で呼ばれていたのです。
彼女自身も自分の体臭に気づいていないはずはなく、
常にハンカチで口元を隠しながら会話をしたり、口臭を抑えようとガムやキャンディを摂取したり、
強めの香水や制汗スプレーを使用するなど、懸命に対策を試みていました。
しかし、そのような彼女の努力にもかかわらず、同僚たちの態度は冷淡で、
彼女が座っていた席に座りたがらなかったり、彼女がトイレや
ロッカールームを使用した後には露骨に消臭スプレーを散布するような行動が見られました。
ここで体臭やその類似症状について知識のある方であれば、
「何か違和感がある」と感じるかもしれません。
実は富士子さんの場合、脇の下や陰部だけから強い臭いがするのではなく、
むしろ全身から独特の香りが発せられている状態でした。
つまり、一般的な「わきが」や「スソわきが」とは異なる症状だったのです。
私は彼女のためにできることがないかと思い、少し調査してみることにしました。
調査の結果として、彼女の症状は「魚臭症候群(トリメチルアミン尿症)」で
ある可能性が高いと思われました。
この状態は「症候群」と呼ばれているため疾病とは異なりますが、
遺伝的要因が関与しているとされており、
彼女の両親も同様の症状を持っている可能性があります。
この症候群は体内の代謝異常により、口臭、体臭、尿の臭いが魚のような特徴的な香りを発するものです。
まさに富士子さんから感じられた香りと一致していました。
残念ながら現在のところ完全な治療法は確立されていませんが、
症状を軽減するための食生活の工夫が推奨されています。
具体的には、原因物質である「トリメチルアミン」の前駆体となる「コリン」「カルニチン」
「レシチン」等を含む食品の摂取を控えることが推奨されます。
また、緑茶に含まれるカテキンやポリフェノールには消臭効果があるという情報も見つけ、
さりげなく彼女に伝えてみました。
彼女は自分の症状について十分な認識がなかったようで、
内科系の医療機関を受診してみると話していました。
少しでも彼女の症状が和らぎ、快適に過ごせることを心から願っていました。
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